6月29日に行われたカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭で、自身が主演する新作映画『After the Wedding』のプロモーションを行ったジュリアン・ムーア。現地ホテルで行われた記者会見にて、映画には距離を超え、分裂を防ぐ架け橋となる力があると述べた。 「直接見て理解しない限り、何かに共感することは難しい」と語る彼女の映画にかける情熱にフォーカスする。
約35年の役者人生を経て、映画『After the Wedding』で初めてプロデューサーを務めた女優ジュリアン・ムーア
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭はチェコ西北部の都市カルロヴィ・ヴァリで毎年開かれている東ヨーロッパ最大級の映画イベントである。ジュリアン・ムーアは、夫で映画『After the Wedding』の監督を務めるバート・フレインドリッチと共演俳優ビリー・クラダップとともに記者会見を行った。この作品は今年8月に米公開予定の本作の主演を務めるジュリアン・ムーアの初プロデュース作である。
サンダンスフィルムフェスティバルで初上映された映画『After the Wedding』。ジュリアン・ムーアがミシェル・ウィリアムズと共演している本作は、ミシェル・ウィリアムズ演じる孤児施設創立者がジュリアン・ムーア演じる裕福なビジネスウーマンからの多額の寄付を受けるためニューヨークに向かうところから始まる。二人を取り巻く人間関係が複雑に絡み合うドラマチックなストーリーとなっている。2006年公開のデンマーク映画『After the Wedding』のリメーク作品でもある。原作は、サンドラ・ブロック主演のNetflix映画『バード・ボックス』の監督であるスサンネ・ビアが監督を務めた。
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女優兼プロデューサーのジュリアン・ムーア「過ちを繰り返さないための一つの手段が映画を見ること」
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭での記者会見にて、ジュリアン・ムーアは映画が視聴者に与える影響に ついて、自身の経験を踏まえながら語った。彼女は、共産主義時代のドイツで子供時代を過ごしている。大人になり、ベルリンの壁崩壊後にドイツを再訪した際に、国内の急速な成長と自由を感じる現代的な雰囲気に強い衝撃を受けたという。この時の思いを「1989年に壁が崩壊した時、私たち家族にとってそれはとても大きな出来事でした」と述べ、「歴史を繰り返し思い出し続けるのは大事です。なぜなら、そういった社会で生きていた様子を人々が理解できるからです。思い出さないと忘れてしまいます。対立が多く、忙しない現代に、つい最近の歴史を思い出すことは、過ちを繰り返さないために重要です」と感情的に語った。そして、映画の役割をこう語った――「物理的に距離があり理解できないことは、実際に見て知ることをしない限り共感しづらいものです。そういったことを学ぶ一つの手段が映画を見ることです」
ジュリアン・ムーアの夫であるバート・フレインドリッチは、「アートは思いやりを育むため大事であると聞いたことがあります。なぜなら、あなたではない何かを通じて、あなたを見るからです」と話した。そして、「この世界には、恐怖が渦巻いています。恐怖を感じる時、人間の醜い部分が出てくると思います。自分を守ろうとはするけれど、助けを求めないのです」と語った。
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭にて、隣は新作映画『After the Wedding』の監督であり夫のバート・フレインドリッチ(画像は『juliannemoore 2019年7月1日付Instagram』から)
2007年アカデミー賞外国語映画部門でノミネートされた原作映画『After the Wedding』 はこちら
ジュリアン・ムーアの初プロデュース作『After the Wedding』の日本での公開は未定だが、 リメーク元の原作であるデンマーク映画『After the Wedding』 を楽しんでみてはいかがだろうか。
(画像は『juliannemoore 2018年5月13日付Instagram』のスクリーンショット)
参考記事:【Variety】Julianne Moore On Her Passion for Story, the Power of Empathy
https://variety.com/2019/film/global/julianne-moore-karlovy-vary-1203256527/