アメリカで2003年から放送されたオリジナル作品『Queer Eye for the Straight Guy』のリブート版である、Netflix作品の『Queer Eye (邦題:クィア・アイ)』。2018年からシーズン1が放送された。作品としてだけでなく、『ファブ5』と呼ばれる5人のキャストそれぞれが人気となり、現在シーズン3まで既に放送されている。その中で、今回ファッション担当のタン・フランスが自叙伝を出版し、人種やセクシュアリティーにまつわる子供の頃の葛藤を語った。
Netflix配信作品『Queer Eye (クィア・アイ)』のあらすじ、キャストのタン・フランスとは
『Queer Eye (邦題:クィア・アイ)』といえば、 Fab5(ファブ5)と呼ばれる5人のゲイ男性が、ストレート男性や女性を改造するというテーマで、コメディタッチで描かれている人気作品である。キャストの一人であるタン・フランスは、キャラクターの強さで攻めるタイプではなく、物腰は柔らかく、言葉を慎重に選びながら依頼人と接している印象だ。
そんなタン・フランスを形作ってきた人生について書かれた自叙伝『Naturally Tan: A Memoir』がこの度出版された。1983年にパキスタン移民の息子として生まれ、多感な時期をイギリスで過ごした彼の思いが自叙伝の内容から伝わってくる。
キャストのタン・フランス新着自叙伝『Naturally Tan: A Memoir』で語られる幼少期の思い出
タン・フランスは、白人よりも濃い色の肌をもつことに葛藤を感じていたという。10歳のころから肌の脱色を始め、劣等感をもっていることを悟られないよう、そのことを家族に秘密にしていた。それもそのはず、タン・フランスにそのプレッシャーを与えたのは、家族だったというのだ。
彼よりも肌の黒い女の子と一緒にいた時に、彼らを見かけた家族の一人は「友達ならいいけど、彼女にはならないでよ。肌の黒い子供が産まれるわ。」と言った。タン・フランスはその考えが偏っているとは感じたものの、結局影響されてしまったという。その結果、5歳という幼い頃から白人になりたいと強く思い、白人になれればもっと魅力的になれると盲目的に考えていたそうだ。
タン・フランス、ゲイであること+人種の違いを受け止めた今、キャストとして活躍
『Queer Eye (クィア・アイ)』で共演しているFab5(ファブ5)と (画像は『tanfrance 2019年4月19日付Instagram』のスクリーンショット)
その後、自分のセクシュアリティーについても悩み、さらに「他の子供と違っている」という理由だけで壮絶ないじめを経験した。いじめっこのなかには、肌の濃い子供たちも交じっていたことが特徴的だったという。その時の気持ちを「本当に辛かった」と率直に語った。
大人になり、過去のことを「残念で、起こってはいけないことだった」と理解したタン・フランス。自分の価値を知り、テレビキャストとしてゲイを公表した初めての南アジア人となった彼は、今こう語っている――「自分の見た目で好きなところを聞かれたら、肌だと答える。僕の肌の色は美しいからね。」
【Netflix配信予定・おすすめ作品】日本をテーマにした『Queer Eye: We’re in Japan!(クィア・アイ、日本編)』を現在制作中
『Naturally Tan: A Memoir』 は日本でもAmazonなどで購入できる。現時点で日本語版の発売は確認できていない。また、Netflixでは、日本の4人の男女の改造をテーマにした作品『Queer Eye: We’re in Japan! (仮題)』を現在制作中。日本での放送が待ち遠しい。
(画像は『tanfrance 2019年5月20日付Instagram』のスクリーンショット)
参照記事:【PEOPLE.com】Tan France Reveals He Bleached His Skin at Age 10 in Memoir
https://people.com/tv/tan-france-bleached-skin-age-10-memoir/